2013年10月24日木曜日

1部の各クラブに勝利をもたらす2部出身プレーヤー

昨今の経済危機により、大物外国人の獲得よりも下部リーグ、下部組織からの選手獲得を狙うクラブが増えているリーガ・エスパニョーラ。

しかし今シーズンは、単に「安い」だけでなく、確かな結果をチームにもたらす「掘り出し物」が少なくない。

セドリック、ハイロ、ビトーロ、オリオル・リエラ、マヌ・ランサローテ、テイエヴィらは、開幕から数試合を終えた今、なかでも目立った活躍を見せた2部からの移籍組だ。

実際、12/13シーズンに2部から1部へと「個人昇格」を果たした選手は20名ほどだったが、今シーズンは倍の40人ほどの選手が1部へのステップアップを実現している。

なお、その40名は、昨季1部から2部落ちを果たした3チーム(サラゴサ、マジョルカ、デポルティーボ)からの移籍組を含まない「”純”2部出身プレーヤー」だけをカウントした数字である。

この現象の背景には、すでに述べたような経済基盤の沈下による、外国クラブとの獲得競争力の低下が挙げられる。

外国のリーグに在籍する選手に目をつけたとしても、その国、あるいは他の外国のクラブが争奪戦に名を連ねてきた場合、“リーガ・エスパニョーラ”という看板だけではとても勝てない。むしろ、1部へのステップアップを果たしているにも関わらず、2部時代に手にしていた給与を削ってまで、「トップリーグでプレーする」という夢を実現する選手もいるほどだ。

ちなみに、2部出身プレーヤーを最も多用しているのは、エスパニョール。
以下、6名がアギーレ監督率いるチームにとっては、早くも欠かせない戦力となっている。

ダビド・ロペス(=ウエスカから加入)
マヌ・ランサローテ(=サバデルから加入)
アブラアム(=アルコルコンから加入)
フエンテス(=コルドバから加入)
アレックス・フェルナデス(レアル・マドリーBから加入)
ティエヴィ(ラス・パルマスからのレンタルバック)

もちろん、下部組織を重視する傾向も年々顕著になっている。

トップチームに在籍する下部組織出身者は、レアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオがそれぞれ18人。そして、バルセロナは1人少ない17人。
”あの”レアル・マドリーでさえ、今では9人の下部組織出身者がトップチームの登録メンバーとなっている。

リーマンショックによる経済危機と、TV放映権料分配の2強偏重がもたらす「二重苦」によって、リーガは再び「国内回帰」の流れへと進みつつあるということだ。

しかし、1部の各クラブ(*もちろん、レアルとバルサ以外のクラブを指す)の錬金術が向上することは決して悪いことではない。
借金にまみれた各クラブが、ようやく「健全経営」へと舵を切ったことは、明るい兆しとも言える。

もっとも、下部組織出身者であれ、2部出身者であれ、活躍した選手がさらにプレミアやその他金満クラブへと引き抜かれていく流れは、あと数年先まで止められそうもない。

あるスペイン国内メディアが、プレミアやセリエAに活躍の場を求めた選手たちの成績を一覧でまとめたページに、「海外移民リーグ」とタイトルを打った。

自国リーグがあくまで一番というプライドを見せつつも、もはや、そういうページを作らざるを得ないほどスターが海外へ流出しているという事実。

悲しいかな、それがリーガ・エスパニョーラの現実なのである。

13年10月23日 マルカ紙より