2012年9月24日月曜日

バルセロナ対グラナダ レビュー


バルセロナは、クラブ史上7度目となる開幕5連勝を飾った。
しかし、これまでで最も苦しんだ試合となったのは事実。
AS紙の記者サンティ・ヒメネス氏が書いた試合後のマッチレビューでは、「バルセロナは、結果ほどうまくいってはない」と主張した。

もちろん、これはレアル・マドリーを支持する側の新聞であるため、
奇をてらった部分はあることを忘れてはいけない。
しかし、極端で大げさな意見というわけでもないだろう。

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バルサは連勝を収めるも、非常に苦しんだ。
トーニョがキャリアベストとも言うべきプレーを見せ、グラナダは、特に前半、バルサを機能不全に追い込んだからだ。

もっとも、ティト・ビラノバ陣営は再び勝利を積み重ねたことに満足かもしれないが、よくよく見れば全て順風満帆というわけではない。

もちろん、結果は雄弁な事実を物語っている。
グラナダ相手に2-0で勝利し、首位をキープしたことに議論の余地はない。
獲得可能な勝ち点15を全て獲得しているし、レアル・マドリーとの差も変わらぬままだ。

そういう意味で、このバルセロナに対して、数字のうえで非難することはできない。
今やニューヨークに居を構えるグアルディオラも、インターネット上で結果を確認し、胸をなでおろしているはずだろう。すでにリーガはバルサのものだと。しかし、現実は全く別物だ。

今のバルセロナに、圧倒的なまでにリーガを制圧したころの面影はない。

勝利への意欲、そして試合終了間際の怒涛の攻撃には納得せざるを得ないが、それでも(2節)オサスナ戦(A)や(3節)バレンシア戦(H)、それに今週のCLスパルタク・モスクワ戦など、結果に包み隠された危うさが存在する。

このグラナダ戦も、ビジャの試合勘など様々なテストをするには格好の試合だったはずだ。
しかし、最終的には、チャビという、いつもの聖域へと踏み込んでいる。

前半は、ゆったりと散歩しているかのようなリズムのなか、パスも雑で、グラナダの圧倒的なフィジカルを前に、プレーの連続性がなく、個人技でも完全に封じこめられていた。

一方、トーニョは、訪れるピンチを何度も救い、そのプレーはスペクタクルそのものだった。
チャビの圧巻のシュートまで、8度は失点を防いでいた。
しかし、その壁が崩れ、数分後には自滅。
昨季、カンプ・ノウで魅せたハビ・バラス(元セビージャ、現セルタ)にあと数分で並ぶことができたはずだった。

http://www.as.com/futbol/articulo/xavi-derriba-muro-tono/20120923dasdaiftb_26/Tes

2012年9月20日木曜日

チャンピオンズリーグ グループステージ第1節(データ)


<レアル・マドリー 3-2 マンC>

      両者は、公式戦初対決。
      今季ここまでの全公式戦フル出場だったセルヒオ・ラモスが、先発を外れベンチ。
      レアル・マドリーは、この試合の勝利で、CL開幕戦6シーズン連続勝利。
      レアル・マドリーは、92/93から始まった現行のCLで通算100勝目。(3541敗)。史上最速。2位:マンU98勝)、3位:バルセロナ(97勝)。
      マルセロは、CL通算3ゴール目。1153CL準決勝第2戦バルセロナ戦(1-1/A)以来、2シーズンぶりのゴール。
      ベンゼマは、CL通算27ゴール目。昨季リーガ最終節以来、自身公式戦初ゴール。ユーロも無得点だったため、公式戦804分ぶりのゴールとなった。
      クリスティアーノ・ロナウドは、CL通算39ゴール目。ドログバと並び歴代8位に。
http://www.marca.com/blogs/profesor-doc/2012/09/18/comienza-la-liga-de-campeones-1213.html
http://www.marca.com/2012/09/18/futbol/equipos/real_madrid/1348001531.html

      レアル・マドリーは、欧州カップ戦でのホーム開幕戦、負けなし(通算515分)
https://twitter.com/OptaJose

      レアル・マドリーは、イングランド勢とのホーム戦で54分け2敗という戦績
http://jp.uefa.com/uefachampionsleague/season=2013/matches/round=2000347/match=2009503/prematch/background/index.html

<マラガ 3-0 ゼニト>

      イスコの1試合2ゴールは、プロ初。ちなみに、今季公式戦初ゴール。
      サビオラはCL通算16ゴール目。
http://www.marca.com/blogs/profesor-doc/2012/09/18/comienza-la-liga-de-campeones-1213.html

<バルセロナ 3-2 スパルタク・モスクワ>
・  CLホーム開幕戦無敗を継続
・  メッシ、CL通算53ゴール(69試合)。1試合2ゴール以上は、13試合目。今季公式戦10点目。
・  昨季CL、バルセロナは全試合で2ゴール以上を決めている。

・  メッシ、ヘディングでのゴールは、バルサ通算11ゴール目。

・  CL決勝がウェンブリーで行われた過去2回(1992、2011)、共にバルセロナが優勝している。

<バイエルン 2-1 バレンシア>
・  両者の対戦は、過去3回。全て「1-1」だった。




2012年9月18日火曜日

ティト・ビラノバ監督が採用する相対評価


グアルディオラ前監督のもとを独り立ちしてから初めて、ティト・ビラノバ監督はメッシにベンチスタートを命じた。エースがスタメンを外れたのは、昨シーズン第2節のレアル・ソシエダ戦以来、約1年ぶりのことである。

その当時のバルセロナであれば、グアルディオラもメッシも不在の状況に大きな悲観論が漂っていたことだろう。運命論を振りかざすまでもなく、バルセロナは大きな不安に覆われていたはずである。

しかし、ヘタフェとの試合では、メッシがピッチに姿を現す前からすでにリードを奪い、勝利を確実なものにしていた。プレー内容も申し分なく、彼らは至って普段どおりのプレーをするだけで、勝ち点3を手に入れた。

ヘタフェとのアウェーゲームと言えば、昨シーズン、4連覇を逃す決定的な試合となったオサスナ戦(211日、2-3/A)と並び、バルサが大きな失敗を招いた試合(1126日、0-1/A)として記憶されている。さらに今回は、相性の悪い主審との組み合わせ、“FIFAウイルス”感染など、別のハードルも存在していた。もちろん、直前のホームゲームでレアル・マドリーから勝利を上げたばかりのチームとの対戦だったということも忘れてはいけない。

よって、この試合を迎えるにあたって、バルセロナにはある種の恐怖があったはずである。スタメンのメンバー選考にも頭を悩ませたはずである。

ところが、ティト・ビラノバ監督は混乱することもなく、“10人のカンテラ出身選手の起用”という大胆かつ、戦略的なスタメンをピッチに送り出した。イニエスタ、アレクシス・サンチェス、ジョルディ・アルバの欠場が確定していたにも関わらず、メッシやダニエウ・アウヴェスまでもベンチに温存させた。

結果、特に素晴らしかった中盤では、チャビが試合をうまくコントールし、セスクは“偽9番”の役割を全う。ブスケッツのポジショニングは文句のつけどころがなく、今季初スタメンとなったチアゴ・アルカンタラに至っては、フィジカルとテクニックの融合という意味で、バルセロナが生み出した最高傑作の名に相応しい出来だった。

そして、昨シーズン後半に囁かれた“メッシ依存症”という疑惑に対し、いともあっさりと回答を提示し、メッシの不在が足枷とならないことを早くも証明してしまった。

ティト・ビラノバ監督の頭のなかは、11人でのプレー、ではなく、14人でのプレーがイメージ図に描か
れているのだろう。

スターティングイレブンの選考に偏りがなく、選手に対しては、プレーの均質化と共通理解を要求する。その決断力は、柔軟かつダイレクトでもある。フットボールに相対的価値を持ち込んだという点で、ビラノバ監督は誰よりも先をいっている。

今やレアル・マドリーとの勝ち点差は「8」にまで広がった。しかし、現在の状況を見る限り、ティト・ビラノバ監督はこのことを何ら不思議に感じていない気さえする。その姿はまるで、1人で“オトラ・リーガ”を戦っているかのようでもある。

http://deportes.elpais.com/deportes/2012/09/16/actualidad/1347747216_862844.html

2012年9月6日木曜日

グローバル化が進むリーガ

夏の移籍市場が打ち切られ、今季リーガの概要がざっくりと露になってきた。

週末のリーガエスパニョーラで先発出場を果たした選手のうち、37.8%が外国人選手だった。
計198人の選手が先発出場を果たしているが、うち75人が外国人だったということだ。
注)9月26日に延期されたベティスvsアトレティコ・マドリーの試合はカウントに含めていない

地域別に見てみると、
34人が欧州、31人が南北アメリカ、10人がアフリカとなり、
国別では、
ブラジル人が12人で最も多く、次いでアルゼンチン(10)、フランス(9)と続いている。

なお、第3節に限ってスタメンに外国人を最も多く並べたのは、バレンシア。
11人中、8人が外国人だった。
なお、レアル・マドリーとバルセロナは共に、6人ずつの外国人をスタメンに起用している。

一方、外国人を全く起用しなかったのはバスク純潔主義を貫いているので当然だが、
アスレティック・ビルバオ。
続いてはヘタフェの1人だけとなっている。

マーケットが1/3になったリーガ

先週末、8/31日で今夏の移籍マーケットは閉じられ、プレミアリーグを中心にあっと驚かされる駆け込み移籍に一喜一憂したことだろう。

とはいえ、数年前まで“世界最高峰”と謳われたリーガ・エスパニョーラの現状は、
スペイン政府がEUに対し財政支援を叫び通していることからも分かるように、
お先真っ暗な状況である。

なぜなら、この夏、各クラブが補強に費やした金額は、前シーズンよりも70%減少したことが分かったからだ。

昨シーズンは、20チーム計36000万ユーロの資金が移籍市場に投入されたが、今シーズンはわずか11600万ユーロしか市場にお金が回らなかったという。


そして、いつもと変わらず、最も補強費を費やしたのはレアル・マドリーとバルセロナで、
全体の55%を占めている。

具体的には、モドリッチ(レアル・マドリー加入)、ソング、ジョルディ・アルバ(共にバルセロナに加入)の3選手だけで6600万ユーロが費やされた。

つまり、残り18チームの補強費はわずか5000万ユーロほどでしかなかったということだ。

しかも、この18チーム中、全く補強費を使わなかったクラブが、最低でも6クラブはある。
デポルティーボ、バジャドリーの昇格組はまだしも、マラガやエスパニョール、オサスナ、ラージョまでもが財布からお札を抜くことなく、全ての交渉をまとめ上げた。

一方、他国へと“ステップアップ”(?)を遂げた選手の移籍金総額は、1億5300万ユーロ。
つまり、リーガ全体での収支は、3700万ユーロのプラスということに。

もちろん、これを本気で喜んでいる会長はリーガには存在しない。
ファンの期待を膨らませつつも、クラブに残る財源の管理をやり通しただけでホッと一安心。

冬の移籍マーケット?

もはや、噂を楽しむだけで十分満足しなければいけないのが、正直なところだろう。