2014年5月19日月曜日

アトレティコ、18シーズン前の優勝チームとの違い

GK
両チームのスタイルの差が示すように、GKの守り方にも大きな違いがある。
クルトワはよりGKラインに近い位置でプレーするが、(95/96の正GK)ホルヘ・モリーナはより前に出てプレーしていた。今のアトレティコは、18シーズン前のチームに比べて後ろからプレーをスタートする。モリーナもクルトワもチームの攻撃の基準点になっているが、クルトワは前線に構える長身選手に向かって長距離のキックをするという違いがある。

DF
18シーズン前のチームのDFたちは、積極的にプレーに関与していた。そして、ソロサバルとサンティというCB2人は補完関係が出来上がっていた。前者はチームキャプテンにして気持ちの強さを見せるDF。一方、後者はビルドアップの起点になり、中盤との中継点ともなっていた。
一方、シメオネのチームのDFラインはより低く設定され、チームが志向する戦術の肝となっている。ミランダとゴディンという偉大なCB2人も相互理解に優れている。ミランダは全ての局面において相手選手を凌駕し、空中戦の強さと判断力に優れている。一方、ゴディンはミランダ以上に守備に比重を置き、駆け引きで勝負するDFだ。
サイドバックは、両者ともに攻撃力に優れたキャラクターを持つ。それは18シーズン前と変わらない。

MF
95/96シーズンは、常に良いポジションニングをとって、味方を安心して攻撃に専念させられる影武者、ビスカイーノがいた。
今のチームでは、マリオ・スアレスはより守備に専念して第3CBの役割を担っている。そして中盤の柱として主将のガビが大きな存在感を放つ。それは当時のシメオネと変わらない。両者はチームリーダーであり、犠牲を厭わないチームの象徴的な存在だ。
そして、ファイナルサードで攻撃に違いを生み出すのは、カミネロ(現アトレティコSD)。今で言えば、アルダだ。



2014年3月6日木曜日

J1 第1節 鳥栖vs徳島

0-5で敗れた四国初のJ1チーム、徳島。
この結果については悲観せざるを得ないかもしれない。

だが、ファーストインプレッションを言えば、「鳥栖が非常に良かった」とも言える。
数名を補強しているにも関わらず、違和感なくチームに馴染んでおり、
昨シーズンのハードワークに、+ポゼッションが加わっている。
いよいよ、ユン・ジョンファンのやりたいサッカーを表現できる戦力が整ってきたのだろう。
最前線が得点を取れれば、昨季の新潟並みの快進撃を収める可能性を秘めている。

さて、徳島。
結果論だが、ある意味「J1」を知る選手たちがいる分、
構えてしまった部分があったかもしれない。
「イケイケで玉砕」。「たられば」ではあるが、もしかしたらそういう気持ちもどこかで必要だっただろう。

小林監督の「落ち着け、行こうよ、回せるよ」という声が何度も集音マイクを通して伝わってきたことが、
この試合の一番の象徴だったように思う。

この大敗を受けて考えるべきは、
どういうストロングポイントを構築して、この1年を生き残っていくのか。
当然、キャンプからそういう意識を持って臨んでいるだろうが、
例えば、後半途中から投入されたレアンドロの扱いをどうするのか、
それは1つのキーポイントになる。

兄レアンドロとほぼ同じプレースタイルを持つ弟は、
ボールを預ければ縦への推進力もそれなりにあり、「カウンター」にはうまく活かせる。

加入して間もないため、連携のこともあるだろうし、守備のことも考えなければいけないが、
彼を中心としたチーム作りを早く進めてみたいとは思った。
(当然、彼自身にもハードワークを求めつつ)

もちろん失敗に終わったときの、レアンドロに対する風当たり
新加入選手が故の難しさ、等々あるが
長いようで短いシーズンを生き残るには、一考に値すると感じた次第。

2013年12月18日水曜日

今季のリーガは、レッドカード減

      今季のリーガは、“クリーン”な戦いが繰り広げられている模様
      開幕15試合を終わってレッドカード37枚は、04/05シーズンと同数で、最近25シーズンのなかで最も少ないという
      昨シーズンの同時期は58枚のレッドカードが乱発していただけに、かなりの落着きぶり
      もっとも安定して少ないわけではなく、開幕節では1枚のレッドカードも出なかった一方、第14節は、1節だけで計7枚(Valera del Getafe, Iturra del Granada, Fontás del Celta, Keylor Navas del Levante, Rubén del Rayo, Paulao del Betis y Portillo del Málaga)のレッドカードが飛び交った
      チーム別に見ると、ラージョとオサスナが最大の5枚。対して1枚もレッドカードがないのは、レアル・マドリー、バルセロナ、バレンシア、レアル・ソシエダの4チーム。
      イエローカードの枚数でも、開幕15試合終了時点で、04/05シーズンは805枚、今シーズンは804枚。
      現在の最多警告者は、エルチェのボティーアで、出場14試合で8枚も貰っている
      審判別にみると、ベラスコ・カルバージョとマテウ・ラオス主審が、それぞれ最多のレッドカード4枚を出している

2013年10月24日木曜日

1部の各クラブに勝利をもたらす2部出身プレーヤー

昨今の経済危機により、大物外国人の獲得よりも下部リーグ、下部組織からの選手獲得を狙うクラブが増えているリーガ・エスパニョーラ。

しかし今シーズンは、単に「安い」だけでなく、確かな結果をチームにもたらす「掘り出し物」が少なくない。

セドリック、ハイロ、ビトーロ、オリオル・リエラ、マヌ・ランサローテ、テイエヴィらは、開幕から数試合を終えた今、なかでも目立った活躍を見せた2部からの移籍組だ。

実際、12/13シーズンに2部から1部へと「個人昇格」を果たした選手は20名ほどだったが、今シーズンは倍の40人ほどの選手が1部へのステップアップを実現している。

なお、その40名は、昨季1部から2部落ちを果たした3チーム(サラゴサ、マジョルカ、デポルティーボ)からの移籍組を含まない「”純”2部出身プレーヤー」だけをカウントした数字である。

この現象の背景には、すでに述べたような経済基盤の沈下による、外国クラブとの獲得競争力の低下が挙げられる。

外国のリーグに在籍する選手に目をつけたとしても、その国、あるいは他の外国のクラブが争奪戦に名を連ねてきた場合、“リーガ・エスパニョーラ”という看板だけではとても勝てない。むしろ、1部へのステップアップを果たしているにも関わらず、2部時代に手にしていた給与を削ってまで、「トップリーグでプレーする」という夢を実現する選手もいるほどだ。

ちなみに、2部出身プレーヤーを最も多用しているのは、エスパニョール。
以下、6名がアギーレ監督率いるチームにとっては、早くも欠かせない戦力となっている。

ダビド・ロペス(=ウエスカから加入)
マヌ・ランサローテ(=サバデルから加入)
アブラアム(=アルコルコンから加入)
フエンテス(=コルドバから加入)
アレックス・フェルナデス(レアル・マドリーBから加入)
ティエヴィ(ラス・パルマスからのレンタルバック)

もちろん、下部組織を重視する傾向も年々顕著になっている。

トップチームに在籍する下部組織出身者は、レアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオがそれぞれ18人。そして、バルセロナは1人少ない17人。
”あの”レアル・マドリーでさえ、今では9人の下部組織出身者がトップチームの登録メンバーとなっている。

リーマンショックによる経済危機と、TV放映権料分配の2強偏重がもたらす「二重苦」によって、リーガは再び「国内回帰」の流れへと進みつつあるということだ。

しかし、1部の各クラブ(*もちろん、レアルとバルサ以外のクラブを指す)の錬金術が向上することは決して悪いことではない。
借金にまみれた各クラブが、ようやく「健全経営」へと舵を切ったことは、明るい兆しとも言える。

もっとも、下部組織出身者であれ、2部出身者であれ、活躍した選手がさらにプレミアやその他金満クラブへと引き抜かれていく流れは、あと数年先まで止められそうもない。

あるスペイン国内メディアが、プレミアやセリエAに活躍の場を求めた選手たちの成績を一覧でまとめたページに、「海外移民リーグ」とタイトルを打った。

自国リーグがあくまで一番というプライドを見せつつも、もはや、そういうページを作らざるを得ないほどスターが海外へ流出しているという事実。

悲しいかな、それがリーガ・エスパニョーラの現実なのである。

13年10月23日 マルカ紙より

2013年4月5日金曜日

元バルサGKコーチのウンスエ、バルデス退団希望について語る

2003~2010年までバルセロナのGKコーチを務めたフアン・カルロス・ウンスエが、『カタルーニャラジオ』の番組内で、来季限りの契約を更新しない意思を代理人を通じて発表したビクトル・バルデスのことについて自身の考えを述べた。

ウンスエ「ビクトルのことはよく知っているが、バルサを退団するという意思を覆すのは難しいと思う。今はもう、彼がバルサの一員である限り、そのプレーを楽しみ、そしてこれまでの功績に感謝する他ない」

そして、ウンスエはバルデスの後釜について、リーガでプレーしているGKを獲得すべきだと述べている。

ウンスエ「他のリーガで探すよりも、リーガで彼の後釜を探す方がずっと簡単だと思う。バルセロナのプレースタイルのこともよく知っているからね」

また、ピントの役割についても、次のように強調している。

ウンスエ「ピントは、チームにおける自らの存在価値をすでに勝ちとっている」

なお、グアルディオラが来季から就任するバイエルン入りの可能性については、次のように否定した。

ウンスエ「グアルディオラから呼ばれれば、行くだろう。でも、GKコーチとしてではなく、アシスタントコーチとしてね」

http://www.sport.es/es/noticias/barca/unzue-cree-que-barca-debe-buscar-portero-liga-espanola-2355925

2013年4月3日水曜日

(ベティスのマスコットキャラクター)パルメリンくんは、衣替え?

先週末にサマータイムへと移行した欧州。
スペイン南部の都市セビージャでも、今月16日から21日まで、スペイン三大祭りの1つ“Feria de Abril(春祭り)”が開催される。

そんな春の訪れとともに、各家庭でも衣替えが始まっているが、
意外なところでその必要に迫られる方がいるようだ。

4月1日に行われたベティス対ヘタフェ戦で、ベティスのマスコットキャラクター、パルメリンくんは、この日の主審を務めたホセ・アントニオ・テイシェイラ・ビティエネスからこんな忠告を受けたという。

「(ベティスの)選手と混同するから、あまり動かないで欲しい」

マスコットのなかに入っていたラファエル・ガルシア・ロメーロさんがソーシャル・メディアのなかで明らかにしている。
ロメーロさん「昨夜の試合、後半ずっと座って見ていたのは、テイシェイラ主審から『選手と間違える可能性があるから、あちこち動かないで欲しい』と言われたからだ」

クラブの100周年を記念し、ファンからの公募によって誕生したパルメリンくん。
07年1月7日のセルタ戦に公式戦デビューを飾って以来、ベティコの人気者だった彼だが、審判からの意外な忠告によって、変貌の時を迎えている。



http://www.estadiodeportivo.com/betis/2013/04/02/cambiara-palmerin-uniforme/2547.html

2013年4月1日月曜日

モンタニエル監督が語るスペインとフランスのフットボールの違い

現在、リーガで内容と結果を高次元で両立させているレアル・ソシエダのモンタニエル監督。

フランス出身の同監督は、W杯予選フランス対スペイン戦が行われる数か月前、バスク州フットボール協会が主催する講演会で、両国のサッカー観の類似点・相違点を語っている。

まずモンタニエル監督は、「スペインでれ、フランスであれ、守備的な振る舞いはあまり称賛されない。イングランドもそうだね」と両国のフットボールのコンセプト自体は大きな違いはないとしたうえで、各要素について次のように述べた。

~テクニック~
10年前、フットボールの未来はスペインにあると考えられていた。
なぜかって? それはスペイン人選手たちのテクニックに理由がある。
テクニックは、フットボールにおいて違いを生みだすものだ。そして実際、スペインは代表レベルにしろ、クラブレベルにしろ、そのテクニックで世界のフットボールを支配している。
そして、フランスフットボールとスペインフットボール、また両国のリーグの間には大きな隔たりがある。スペインのチームが持つコレクティブなテクニックは、フランスのそれを大きく上回っている。それは、個人レベルでのテクニックでも同じことが言える。

~戦術~
システムについて、両国に大きな違いはない。どちらも、1-4-2-3-1や1-4-4-2を使っている。
昨季、グアルディオラがバルセロナで用いた1-3-4-3は、新機軸と言えるかもしれないがね。
もっとも、両国の戦術に対する概念は、異なっている。
スペインの方が、短いパスでビルドアップをし、フランス以上にコンビネーションを重用する。
CBがサイドに開き、それにともなってSBは高い位置を取り、中盤がボールを受けるために下がってくる。
また、ボールを失った後のプレッシングも、両国の特徴的な差だ。
スペインはフランスよりも、ボール喪失後のプレスを欠かさない。それは、バルセロナの影響によるものだ。そして、今やスペインのトレードマークになっている。

~フィジカル~
フランスのフットボールは、アフリカからの影響を受けている。パワー、スピード、瞬発力などね。
だから、よりフィジカルの強いフットボールだ。
一方、スペインは南米大陸からの影響力が大きく、アグレッシブさでは劣っている。
フランスでは、1試合につき18~20個のファールがあるのに対して、スペインでは12~14だ。
フランスの方が、よりコンタクトのあるフットボールと言え、練習からレガースは手放せない。
(*スペインでは、練習の際には、レガースをつけない習慣がある)

~選手~
フランスは、スペインに比べてもっと批判的だ。
何かと口を挟んでくる。スペインでは、監督の決断をより尊重する。
そして、フランスの選手たちは、個人練習を好む。練習が終わった後も、シュート練習やセンタリング練習をするためにグラウンドに残っている。
レアル・ソシエダで全体練習後の個人練習を願い出たことがあるのは、若い選手1人だけだ。
スペインの選手たちは、ボールを繋いでプレーすることを好む。DFの選手でも、十分なテクニックを持っている。

~リーガ・エスパニョーラ~
スペインは、世界最高のリーグです。この国に来る前から、そう思っていましたし、今はその考えが確信に変わっています。プレミアリーグへ移籍していく選手もいますが、次の選手を獲得したり、またユースから引き上げたりしています。フランスは出ていく一方で、選手を獲得できる余裕があるのは、カタール資本が入ってきたPSGぐらいです。

http://www.marca.com/2013/03/25/futbol/seleccion/1364205375.html